お題 | ナノ

スリー ツー ワン ゼロ


とんだ西洋被れがいたものだ。
元就は学年一の秀才の聴覚を最大限に使い、音を聞き分ける。
ワン、トゥー、トゥリー。
2はアンドゥトロワの真ん中みたいになっているし、3はツリー…木みたいになっている。
ならば1はワンワン、犬か。

「おい、犬」
「……」
「貴様のことを言うておる」
「…秀才様の言いたいことが全く分かんねえんだが」

犬は眉を寄せて振り向き、秀才様とは頭の回転が違うから意味が分からない、とグルルル唸った。
元就は秀才だから、頭の回転の遅い犬に説明してやる心の広さも持ち備えている。
嗚呼、これぞ秀才。

「貴様の英語の発音ぞ」
「それがdogとどう関係がある」
「耳障りである。我にも教えよ」

嗚呼、元就は秀才だから、英語の発音も完璧でありたい。
嗚呼、元就は秀才だから、飴と鞭を使い分けることができる。
嗚呼、元就はツンデレなのだ。