お題 | ナノ

こんなのってアリですか?


年を取っても、男同士の内緒話は増えない。
いつも三人で、二人でもあと一人の話をして。

そう思っているのはかすがだけで、男同士の内緒話はいつだって突然始まるものだ。
映画の後、かすがの手洗いを待つ時間で。

「小太郎ってかすがのこと、どう思ってる?」

もちろん、大切な幼なじみだと思っている。
だが、佐助は違う。

「俺様、かすがが…」
「遅くなってごめん、女子トイレが混んでいて…、何か話していたか?」

屈託なく小太郎の横に来たかすがは、佐助の複雑な表情と小太郎の無表情とを見比べて、映画の感想で意見が対立したのでは、と心配している。
本編はアレだったけど、スタッフロールが良かったと思う、そんなことをもそもそ呟いた。
ほとんど寝ていたくせに。

佐助はかすがを見て複雑な表情を崩し、笑顔で小太郎の耳に囁いた。

「俺様、それでも今のまま三人でいたいと思ってるから」

何だ、内緒話か、と恥ずかしそうにかすががつつく脇腹が何だか痒くて、真ん中をかすがに譲った。

三人でいられなくなる日も近いかもしれない。
けれどまだ、しばらくはこのままで。