お題 | ナノ

全体的に残念でした


調理実習の日に学校が大爆発を起こすといいのに、と前日にはいつも祈った。
七夕の日だったら短冊にしたためて吊るす勢いで、流れ星を見たら八十回祈る勢いで、とにかくそれくらい切実に。

「ついに来てしまったね」
「……」

なるべく包丁を使わなくて、グラム単位できっちりとした味付けのものを、と選んだのはマフィン。
グラムを量るのを確認して、手順通りにやっているのを確認して、オーブンの温度もしっかりと確認するのに、どうして。

「小太郎、胃薬は用意したよね」
「……」
「よし、行くよ」

綺麗にラッピングされたマフィンのような物体からは、酸っぱい匂いがした。