お題 | ナノ

伝わるテレパシー


「小太郎の分も買ってきた」
「ジュースこれでいいよね?」

机に置かれたのは、焼きそばパンと、いちごオレ。
かれこれ二ヶ月は同じメニュー。

たとえ焼きそばパンが好きだからといって、毎日毎日食べたい訳ではない。
たとえいちごオレに感銘を受けたからといって、毎日毎日飲んでいたら疲れてしまう。

「……」

それでも二人は飽きずに、小太郎のことを思って買い続けてくれる。
わざわざ昼の混む時間帯に、人気の焼きそばパンを。
十人以上並んでいる自販機の最後尾について、いちごオレを。

「やっぱり好きなんだね」
「顔が笑っているものな」

そうやってまた明日も、同じメニューをひたすら食べ続ける。
いつかやはり、きちんと告げるべきだろうか。