お題 | ナノ

思い出懐かし効果


たくさん写真が見つかったからアルバムにしまうのを手伝ってほしい、と頼まれたはずだった。
かすがからのメールには確かにそう書いてあるはずだ、見返したところでしょうがないけど。

「佐助、小太郎、見ろ」

一体何枚あるんだか分からない写真の中から、三人が並んだものを一枚、かすがは取り出した。
端が日に焼けて、たった十年前の写真なのに、もっと古く感じる。

「うわあ、出た出た、忍者ごっこ」
「……」
「これ、小学校に入学した年か」
「多分ね」

木の苗を一本ずつ抱え、皆それぞれ決意の表情でレンズに挑んでいる。
今だと片手で軽々持てる苗を両腕で抱き締めているのを見ると、時間の流れを感じる。
この時はまだ、かすがの身長が一番高かった。

「これを表紙にしよう」
「ええー、マジで」
「私のアルバムだからいいだろう」
「……」
「何故首を振る」

一度整理されかけた写真は、それを皮切りにどんどん散らかっていく。
思い出の波にさらわれ、まとめるはずのアルバムはどこかに隠れてしまった。