お題 | ナノ

メルヘンチックに蓋をして


合格したら、政宗に告白すると決めていた。
実は神様に、うまく行くようにとお願いをしていた。

「お、cuteじゃねえか」
「そ、そうか?」

新しい制服に身を包み、新社会人の政宗からお褒めの言葉をもらって、神様はやはり太っ腹だ。
勢いで、月一回の約束をデートに変えたい、と言ってしまえそうだった。
そう、言ってしまえばよかった。

「お前を見られなくなるのが残念だな」
「…え?」
「言ってなかったか?会社、向こうだって」

だから、会えない、に過敏反応をして。
だから、月に一回でもいいから、と。

今、政宗がいなくてもいいように、少しずつ慣れるように、と突き放した成果が問われている。
いつきは涙を堪え、精一杯微笑んだ。

「政宗、頑張ってな」

メルヘンチックな恋心に蓋をした。
水族館の泡も、初詣の鈴の音も、遊園地の風も、全て。
宇宙飛行士が宇宙へ持って行って、あの輝く星の隅に置いていってほしい。
そしていつか、神様に願った宇宙飛行士が見つけて、地上の小さな恋心が実を結びますように。