コスモロジーな冬の2人 「初詣はspecialな」 政宗の誘いは月に一回。 暗黙の了解が柔らかに二人を包み込んでいる。 一月は遊園地の約束をしたが、すっかり初詣のことを忘れていた。 エンジンが窓を揺らせば、いつきはすぐに参考書を投げ捨てたくなる。 あと一問、と言うと、参考書ごと抱えられ、いつもの助手席に乗せられた。 「政宗は何をお願いするだか」 「お前の受験の成功を願ってやる」 「じゃあおらは、政宗が宇宙飛行士になれるよう願う」 「余計なことするんじゃねえよ、もう就職決まってんだから」 けたけたと楽しそうに政宗は運転を続ける。 宇宙規模の願いを聞き入れてくれるほど神様が太っ腹なのかは分からないが、それでもいつきは政宗の夢を願ってみることにした。 |