お題 | ナノ

水菓子と甘味と


「まだ食べるんですね」
「祭りは短いもの、こういうのは我慢せずに満喫するものよ」

余った玉で落とせるだけ落とし、林檎飴も買ってもらう。
店じまいまで追いやった景品を抱えると、子供のように両手が塞がり、少し恥ずかしく感じる。

「帰蝶、林檎以外の飴もありますよ、葡萄や、桃など」
「林檎がいいの」
「強情ですね」
「あら、知らなかったの」

毎年、必ず林檎飴を食べた。
食べるのにとても時間がかかるので、二人で色々な話をした。
大人になったけれど、林檎飴を速く食べることはできない。
二人並んで、終わろうとする祭りを眺めた。