お題 | ナノ

紙風船落ちた、


たまに来る大人客を適当にあしらい、落ちればそれを、落ちなければ飴玉をやる。
右上の紙風船は、一等、と書かれている。

「あんなの簡単だわ」
「割らないで落とすのですよ」
「まあ、いやらしい」

一等の景品は見当たらない。
誰にも当てられない、と踏んでいるのだろうか。
それではぼったくりだ。

「私が落としてみせるわ、一回いくら?」
「三百円です」
「一等の景品は?」
「さあ、考えていません。何でもいいですよ」

玉を詰め、濃姫は紙風船に狙いを定め、微笑んだ。

「では、林檎飴を、一つでいいわ」