お題 | ナノ

世界崩壊、寸前のリタイア


「もう止すのじゃ」

あともう少し、あともう少しで、この老人の願うところとなる。

「もう良い、風魔」

ひたすらに振り続けた剣を、老人の手によって止められる。
冷たく、血の通わない手だった。

「帰るぞ」
「……」
「これは命令じゃ」

小太郎はその通りにせざるをえなかった。
大将のみを絶望に追いやり、首にあと指一本分まで迫った剣を鞘に戻す。
老人の腰と肩を取ってしまえば、あとは朽ちていくのみだった。