お題 | ナノ

篝火に足迷い


いつの間にか打ち上げ花火は終わっていて、子供は退散する時間になっていた。
蘭丸を探さなくてはならない、と立ち上がる。

「まあまあ、帰蝶。闇雲に歩き回っても、見つかるはずがないでしょう」

提灯の灯りは二つに一つ、鳴り響く笛の音が情緒を醸し出している。

「ここは必ず通る道なのですから、おとなしくここで待ちなさい」
「そう、ね」

いつも闇雲に山をかき分けては、従兄に叱られたことを思い出す。
必ず帰ってくるのだから、おとなしく待っていなさい、と。