モノクローム響音 撤収しきれていない宴会の間を縫って、二人は数珠を探す。 何ともいえない紫色の、手首を通したら少し余るくらいの、特徴のない数珠。 過去の全てを捨ててきた小太郎に、価値は分かるのだろうか。 「ご先祖様方は、たいそう立派だった、と聞いたことがあっての」 ふと、暗闇に呟かれる言葉は、行き場を失って宴会を空回りしている。 「同じようになることはできん、せめて泥を塗ることだけはしたくない、とは思ってはいるのじゃが…」 過去の全てを捨て、風魔を継いだ小太郎には、主が何を感じ、何を求めているかが痛いほど分かる。 ちらりと光る数珠を見つけたなら、それが答えだ。 |