お題 | ナノ

何よりも単純に、


「ワタシを愛せばイイノデース」
「そりゃあ、簡単だ」

壇上の異国人を見上げ、慶次は目を細めた。
周りは黒い服の人間が、彼の名前をひたすら呼んでいる。

「愛せば世界が救われるのかい?」
「ソノ通り、デスカラ刀は収メテ収メテ」
「俺、世界中の人間を愛しているよ」

重い剣を振り上げ、愛もこのくらい重いのかな、と思う。
黒い人間は名を呼ぶのを、崇拝から救援へと変えた。

「でも誰も救われないんだ」

可哀相な方デス、と異国人は言った。
異国人から見ても可哀相ならば、きっとそうなのだろう。