こたつでお留守番 「立派なおせちじゃのう」 このじいさんは、餅も食べればおせちも食べ、ついでに余った蕎麦まで食う、世の中のじいさんに見習わせたいくらい鋼鉄の胃袋を持ったじいさんだ。 ただし、筑前煮のこんにゃくだけは絶対に食べない。 「幸せじゃ」 食べ終わってもじいさんはこたつから出ようとしない。 テレビもぼんやりとつけっぱなしで、面白いのか面白くないのかいまいち分からない。 皿を洗おうと立ち上がると、じいさんに腕を掴まれた。 「まあ、もうちょっとゆっくりしておるがいい」 もったりとしたこたつの熱が、冷えた指先にちょうど良かった。 |