お題 | ナノ

帰るところ


生麺がいいと駄々をこねるに違いないので、佐助が年末のみのアルバイトをしている蕎麦屋に頼みに行くと、ちょうど佐助は帰宅するところのようだった。

「本当は明日バイトだったのに間違えたんだよね、旦那がうるさいから」

蕎麦を早く食べたいだの蕎麦を早く食べたいだの、まあ大体同じような光景を思い浮かべ、同時にため息をつく。

「明日まで我慢してくれたらいいのに」

明日もここで同じ蕎麦を購入することを伝えると、佐助は呆れたように笑ってくれた。
T字路で、また明日、と手を振った。