お題 | ナノ

カウントダウン&エラー


「今日は蕎麦がいいのう」

おじいさんはこたつで丸くなる、何かの歌に乗せたら字余りになってしまった。
丸くなると腰に悪いから、と何度医者に連れて行って話を聞かせても分かってくれない。
近頃は医者に行くのさえ面倒臭がって、こたつで丸くなってばかりいる。

「のう風魔、どうじゃ、蕎麦」

蕎麦は明日になれば嫌でも食べなくてはいけなくなるのに、どうして大晦日前日の昼食を蕎麦にしなくてはならないのか。
そんなことをこのじいさんに言ったところで仕方ないし、天の邪鬼だから考えを改めるとも思えない。

小太郎は黒豆の入った鍋の火を止め、妙に賑わう商店街へと駆け出した。