とりあえず明日がんばる 今日までどうして頑張ってこれなかったのか、秀吉には慶次の気持ちが分からない。 慶次にだって、秀吉の気持ちが分からない。 「いや、やっぱ、止めた!」 「何故だ」 「だって夏休み最後の日だぜ?遊ばなきゃいけない日だろ」 「宿題はどうする」 この山積みの、紙の束。 成績ギリギリだからわざわざ先生方が苦心して用意してくださった、この紙の束。 見ないで見ないで、ようやくここまで来たというのに、どうして今になって魔法を解こうとするのか。 「…明日、やる」 「明日は始業式だ、提出日でもあるぞ」 「でも、明日、やる」 秀吉に会う度に、明日、明日、と引き延ばした。 とうとう壁際に追いつめられて、それでもまだ明日を主張する。 自分が頑張る明日なんて来なければいい、そう呟くと、ならば今日頑張ればよい、だなんて至極真っ当な返事が返ってきた。 |