お題 | ナノ

(水) どうしようもないのは事実だけど


いくら一週間とはいえ、普段の行いをまるでなかったことにはできない。
目はどうしても謙信先生の方へ向いてしまうし、耳はどうしてもあの声を捉えようとする。

「ダ、メ!」
「さっ、佐助…!」

目の前で、耳を塞がれ、傷ついた顔を見なければならなくなって。
今までこうして、何度傷ついてきたのだろう。
どうして、知っていたはずなのに。
佐助が呟いた言葉は、聞こえないふりをした。

ずっとこうしたかった、なんて。