お題 | ナノ

(月) いつもと違う君を見る


『一週間だけ彼女になって』

毎回頭を捻らすプレゼントを、今回はあげなくてもいいことになった。
17の誕生日の、佐助の願い。
叶えてあげられない、と何度も言った。
謙信先生が好きだからと、何度も。
それでも佐助は冗談ではないと繰り返し繰り返し、頭を下げ続けてきた。

『一週間、そうしたらもう諦めるから』

諦める、辛そうに。
恋心を諦めるだなんて、あってもいいことなのだろうか。
どうしてもと泣きそうな顔で頼むものだから、つい、承諾してしまった。

後悔で足は重い。
いつもの電柱の下で待ち合わせ。

「おはよ、かすが」
「…あ、ああ」

いつもの挨拶。
なのにどうして、胸がおかしい。