お題 | ナノ

真意は事件の裏側に


「災難だったね、焼くなり煮るなり元就くん」
「次にその名を口にしてみよ、一生甘味を口にできない体にしてくれよう」

今、保健室の中がどうなっているかは知らない。
光秀が泣く泣く作り直しているかもしれないし、仲良く二人でコーヒーを飲んでいるかもしれない。
どちらにせよ、元就にはもう関係のない話だ。

「保健医は我に何の恨みがあったのだろうか」
「恨みなんてないよ、きっと。ただ、仕事の速い人が来てラッキーだと思ったんじゃない」
「奴は足が長いからな」
「うん、元親くんと違ってね」

半兵衛が窓から逃げ出せたのは足が長いからで、元親がロープでぐるぐる巻きになったのは足が短いから。
濃姫が光秀にコーヒーを用意したのには、足の長さは関係ない。

「元就くんももう少し足が長ければ、光秀先生のトラップを回避できたかもしれないよ」
「いや、我の足が長いからこそ、奴の足に引っかかったのだ」

またいつかコーヒーのデリバリーを頼まれた時には、足元に注意して届けよう。
そして、慶次から二人の噂を聞いてみよう。
きっと、ほんの少しだけ、光秀の足が長く格好良く見えるはずだ。