お題 | ナノ

モルグ街で行き止まり


「おや、来てくれたんですか」
「来いと言ったのは貴様だろう」
「義理堅い子は好きですよ」

元就は仁王立ちで真っ直ぐ光秀を睨んでいる。
仁王像は二つで一つだが、迫力は一人の元就に適わない。

「しかし今日は我は用がある、代わりにこやつを置いていく。煮るなり焼くなり好きにしろ」

ぐるぐる巻きのロープを引き、元就はカーテンを引いて呼びかける。

「半兵衛、手伝ってやれ」
「おや、駄目ですよ」

ぐるぐる巻きの中には元親、カーテンの向こうには半兵衛、そして保健室の入り口には光秀。
いつの間に回り込んだのだろうか。

「焼くなり煮るなりより、元就です」

ぐるぐる巻きが笑って、カーテンは窓から逃げ出した。
足が長いから、回り込むのも早いのだ、そうに決まっている。