お題 | ナノ

ぼくはほしになる


幼稚園の卒業文集の言葉だよ、と半兵衛は言った。

「なかなか浪漫があるじゃないか、昔の僕は」

そうして秀吉を悲しませまいと、咳を喉に閉じ込める。

星になりたい、と昔は願った。

「今は何になりたい」
「何にもなりたくないよ」

掛け布団の端をもてあそび、半兵衛はいつまでも秀吉の顔を見ようとはしなかった。