偶発的な事故 「我は無実である」 「罪人は皆そう言います」 無実だから、こんな狭い部屋でひたすらホッチキスをガチャガチャやる必要はない、と一時間前から訴えているが、全く聞き入れてくれない。 そろそろ終わりが見えてきそうな書類の山から、最後にもう一度言っておくべきだろうか。 「我は無実である」 「我輩は猫である」 書類の向こうはとても楽しそうに喉を鳴らして笑った。 「あ、それが終わったら帰ってもいいですが、明日も忘れず来てくださいね」 これは嵌められたのだ、と誰に言ったらいい。 元就は鞄を引っつかんで足早に部屋を後にした。 |