お題 | ナノ

昼下がりにハミング


翌週、市が長政と登校してくると、天地異変のように降り続いていた雪が止んだ。
市は雪女だ、と噂する声もある。

「馬鹿馬鹿しい」
「そうだよ、雪女なら融けているはずじゃないか」
「ウム」

口々に優しい言葉をかけてくれる三人に礼を言い、長政はプリント爆弾を逃れた机に、一週間ぶりに腰を下ろした市の頭を撫でる。

「市、来年は雪の間も登校するんだぞ」
「長政様、迎えに来てくれる?」
「当たり前だ、7時20分にな!」

約束を破る奴は悪だから、指切りを。
昼にはすっかり融けてしまった雪を感じて鼻歌なんて奏でながら、手を繋いで二人で帰った。