お題 | ナノ

キャンディー・マーチ


とりあえず手土産があると警備が薄くなるかもしれない、と秀吉が助言したそのままに、のど飴と金平糖を買ってみた。
濃姫が出てきたら見舞いだと渡し、蘭丸が出てきたら金平糖をぶちまければいい。

だから、まさか、他のパターンを想定していなかった。

「おや、君ですか」

出てきたのは白骨遺体のような男性。
冬だから雪のように白い、のではない。

「お市に会いに来たのですか?それとも私に?」
「あ、あの…つまり、何だ」
「ああ分かっています、分かっていますよ、どうぞご自由に」

長政は手土産を入れた袋を落とした。
白骨遺体は音符を出しながらそれを拾い、今日は信長公がいませんからね、と歌った。