スローリー・ア・テンポ 長政と出会って、市は変わった。 その、はずだった。 「今日も休み?」 「あ、ああ…」 無断欠席、無断遅刻、無断早退。 やっとなくなり、やっと普通の学生生活が始まると思った。 「風邪かなあ」 「いや、おそらく違う…理由も告げられず門前払いにされてしまう、一体何故だか訳が分からん」 7時20分きっかりに鳴らす玄関ベルに飽き飽きしてしまったとでもいうのだろうか。 俗にいう「ウザイ」人間になってしまったのだろうか。 だとすればこの身は悪、罪の塊と成り下がってしまう。 「帰りにでも寄ってあげなよ、市ちゃんの机がプリント爆弾になっちまう前にさ」 慶次に背中を叩かれ、所有者のいない机を見る。 この机こそが悪、プリントをまとめて鞄に突っ込んだ。 |