お題 | ナノ

無理矢理にでも君の笑顔が


無理矢理にでも君の笑顔が見たかった



四限はいつもの友人たち全員との講義。
見慣れた頭は一つしかない。

「慶次!」
「あ、お前たち、どこ行ってたんだよ」

呑気にシャープペンシルを回し、場所取りの鞄を避けてくれる。
それがあまりにもいつも通りだったから、今までのことは全て嘘のような気がした。

「旦那は?」
「そう、それが問題でさ」
「もったいぶってねえでさっさと言いやがれ」
「いないんだよ、幸村」

幸村だけじゃない、秀吉も、半兵衛も、元就も、元親も。
講義の始まりを告げる鐘は、ひどく無機質で、今はただ、紅く輝く瞳を感じたい。