お題 | ナノ

きっとそこにはなにもない


ようやく実現した、好敵手との最後の戦い。
誰にも邪魔されないよう、佐助と小十郎は警備を固める。
これを機に、と乗り込んできたのは、豊臣の軍勢。
手負いの幸村と政宗には捌ききれない、申し訳ないがまた次の機会に、と小十郎と合図を交わした。
いくらか傷を作りながら二人を止めると、幸村も政宗も納得し、全力で戦っていた緊張の糸が切れる。
眠ってしまった幸村を抱え、佐助は走り出す。

「結果的に」

豊臣の軍勢と鉢合わせ。

「お前の足に怪我を負わせたのは俺だ。そうでなければ、軽く逃げられたことだろうよ」

その後の記憶はない。
思い出したくない、まだ傷は癒えていない。

「ほらよ、大学だ」

車を降りる、足が震える。