お題 | ナノ

夢をおいかけるひと


蒼は運転を止めない。
景色はどんどん変わっていく。
コンビニから一歩も心が動かない。

「どういうこと」
「俺がお前を殺した。だから今、こうしてお前といるんだろう」
「“結果的には”でしょ」

佐助は先ほど買ったガムを噛む。
半分ずつ、と約束したが、イライラして全て食べてしまいそうだ。

「何なの、それ」
「俺にもよく分かんねえ」

ただの夢であればいい、と願った。
殺された記憶も、乱世の記憶も、全て。

後続車のクラクションで、車は再び発進する。
後戻りするには、もう遅かった。