お題 | ナノ

ひさしい呼吸


「それにしてもひでえな、俺の18年間は城跡か」
「多分俺様のところも廃墟か新しいビル街か、想像したくないな」

土が掘られていくのを見ていると、小十郎の畑を思い出す。
敵同士ではあるが、あれよこれよと持たせてくれたこともあった。
真田にも、と。

「ごめん、伊達ちゃん」
「どうした」
「伊達ちゃんが今とっても辛いって分かっている、分かっているけど…」
「真田のことだろ」

振り向いた顔は少し寂しげで、未練の代わりに後悔が支配している。
何度も伝える機会があった言葉が冷たい像に消えていく。

佐助は頷いた。
息を吸って、吐いて、ありがとう、と頭を下げた。