お題 | ナノ

人間らしく生きる


それから二人は一言も話さなかった。
休憩を挟み、このままいなくなってしまえればどんなに楽だろう、と考える。
考えている内にドアを開き、シートベルトを締めている。

終わりへの道を示されても、いつまでも終わりの見えない運転が続いた。

「佐助、降りろ」

少し小高くなったところに、駐車場がいくつかある。
城跡、それと伊達政宗の像。

「伊達ちゃん、ここ…」
「また狐か」

冷たい像に手を当て、政宗は大きく息を吸った。