お題 | ナノ

どうかわたしを許さないで


「俺はお前を殺した、結果的にな」

唇を噛み、苦々しくハンドルを切る蒼を見るのが怖くなり、景色に目を飛ばす。
流れていくのは木ばかりで、車一台見当たらない。

「だが真田は…」
「いいよ、聞きたくない」
「真田の最後は俺には分からねえ」
「何も言わないでよ!」
「なあ、佐助」

窓を開け、冷たい空気に頬を委ねる。
沸騰した頭は、ゆっくりと柔らかな熱へと変わった。

「俺たちは何で一緒にいるんだろうな」

好敵手を置いて、主人を置いて。
ドライブの終わりが近付いていた。