ゆるやかな殺人現場 夕飯には様々な海の幸、山の幸が出てきた。 いつもなら小躍りして羽目を外す二人であったが、先程の温泉から気まずい雰囲気を引きずっている。 「おいしいおさけもあります」 「あ、どもっす」 二人の代わりに、何々貝が網の上で踊っている。 蒼はそれをさっさと口に投げ入れてしまった。 「ねえ、伊達ちゃん」 「何だ」 「つまりね、きっと、同じことなんだよ」 「何がだ」 お猪口に日本酒をなみなみ注ぎ、一気に喉を滑らせる。 勢いがなくては言えない、まやかしの秘密ごと。 「伊達ちゃんがさっき感じた違和感と、俺様が最近感じていたこと」 |