お題 | ナノ

胸を焦がすあなたへ


小さな旅館に一泊すると決め、とりあえず遅めの昼食を取ることにした。

「肩がバキバキ唸ってるぜ…」
「ね、ね、温泉あるって、伊達ちゃん!」
「お、goodだな!」
「ふふ、たのしそうですね」

かき揚げ丼が二つ、音もなく置かれる。
楽しそうだ、と言われたが、言っている本人が一番楽しそうだ。
男なのか女なのか分からない、端正な白い顔立ちをしている。

「ごゆっくりどうぞ」

後ほど温泉にも案内する、と告げ、彼は去った。