故意でした遠回り 「いい加減教えてくれない?」 ペーパードライバーと、馬より簡単なドライブを始めてから、そろそろ三時間になる。 一時間かからない距離で着くようなところへ行くものだとばかり思っていたから、そろそろ退屈と不安でいっぱいになる。 「どこ行くのか」 「奥州だ」 「今、日本海に向かってますけど」 「I know、俺だってさすがに分かる」 「アイノウじゃないよ、伊達ちゃん!」 馬より簡単じゃなかったのかとか、カーナビつけておけばよかったとか、せめて免許を取っておけばよかったとか。 やっぱり誰かにノートを取ってもらおうとか。 また、影がちらつく。 「先に越後だ、いいか」 そんな佐助を知ってか知らずか、蒼は山道をすいすい登る。 馬も車もお手の物だ。 「…おいしいお酒があるといいな」 「だな」 |