お題 | ナノ

どこまでも飛んでいこうか


「話が読めねえな」

蒼は再びため息で、ミントティーを冷ましていく。
猫舌なのか、飲む気になれないのか、二年ちょっと一緒に住んでも、今の蒼は霞の向こうにいる気がする。

「そもそもどうしてそこで真田が出てくるんだ」
「どうしてなんだろうね」
「おい、佐助」
「俺様に聞かないでよ」

話を振って、終いにはこれだ。
自分が嫌になる。
いつかの自分だったら、人とは思えないほどの跳躍で、大きな鳥に掴まり、朝になるまで一番高い杉の木の上で空を見ていた。

閉ざされたカーテンと午後7時の憂鬱は、どこにも逃げられない佐助の箱庭だった。