お題 | ナノ

文明が滅びた頃に、


「誰かが言った、ここはまるでconcrete jungleだと、な」
「確かに、ジャングルだな」

いつきの四方は固い建物に囲まれ、ほんの隙間を縫うように車と人が走っている。
無機質な街と、無機質な人。
同じ色のスーツ、色とりどりの車。

「空が小せえ」
「こんな街、Mt.富士が噴火すれば一発だ」

政宗は立ち止まった。
このコンクリートジャングルが平らになる日が来たら、また観光しよう、と指を切った。
いつかこの平らな道を歩いた日を思い出し、指を。