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随神


砕かれた頭から蒸気が立ちこめる。気持ちが悪い。思わず白の襟巻で口を塞いだ。ねっとりと刺激する赤から目を逸らした先には、いつだって白の大地と、所々見える灰になった畑と、筋違いの色をした空が待っていた。
蹴るように除けた頭は泥まみれの地面を滑り、雪だるまの要領で転がり落ちていく。崖がある。投げ出され、同じそれらと一体となり、肉塊と化した。

死んでも、と少女は崖下に呟く。

「たくさんいるから悲しくねえべ」

そしてまた、一つ。平和とも地獄ともつかない山が、万年ではない雪に積み重なる。春を知らない。落ち行く冬を繰り返し、たまに流れる温い風は死臭を絶やそうとはしない。
今日も田の神は少女に殺戮を求め続ける。