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施錠


ぐっすりと寝てしまっている先輩に気づいたのは、図書室の最終点検の見回りをするために立ち上がった時だった。
高く詰まれた本の向こうで、まだ勉強をしているのかと思いきや、机に突っ伏して、寝息まで立てている。こんなに静かな図書室なのに今まで気づかなかったのは、この先輩の真面目さゆえだと思う。そこかしこで忍たまの友を開き、ふらふらと歩いている姿は、個人的に名物だった。

「先輩」

一応声を掛けてみるが、返事はない。詰まれた本を除けて、背中を揺するが、疲れているのか、気づいた素振りすら見られない。
図書室で仮眠を取る生徒は少なくないけれど、こうぐっする寝られてしまっては、どうしたらいいものか。手持ち無沙汰な鍵がちゃりちゃりと音を立てる。

「浦風先輩、学食なくなっちゃいますよ」

明日は試験があるのだろうか。手裏剣の試験なら、机に向かうよりも実際やってみるのがいいだろうに。それとも歴史の試験だろうか。すべてをこなそうとしてすべてを放り出した姿に、何だかほっとした。