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シェイキングハンド


「伊助の手は青いね」

そう言った庄左ヱ門の手は黒い。
炭と藍とがお互いの手を出し合って、はたはたと夏の風を自分に送る。

「涼しそうでいいな」
「庄ちゃんの手と何も変わらないよ」

いつかは赤く染まる手をぎゅっと握り、何も変わらないよ、ともう一度呟く。

「伊助の手は青くて綺麗だね」

庄左ヱ門は聞こえなかったかのように繰り返し、今度は伊助の手を強く優しく包み込んだ。