火薬委員である三郎次と、漁師の息子である三郎次とが、どうしても結びつかない、と誰かが言った。 「余計なお世話です」 ねえ、と見上げる小さな瞳が眩しい。染め物屋と火薬委員だってどうなんですか、と果敢に挑戦する姿が、強い線で縁取られている。 漁師の息子だから火薬を駄目にしてしまう、とでも言いたかったのだろうが、すっかり時期を逃してしまって、喉の奥に落ちていく。 「僕たち、忍者なんですよ」 「そっか」 誰かは自分で、自分は誰かで。誰でもない三郎次をすくい上げたのは伊助で。忍者の基盤に立ち、安定した世界を眺めたら、青みがかった空がいやに遠く見えた。 |