ログ | ナノ
物好き


「いいよ、僕が代わる」

伊作が抜けた保健室は、妙な熱気に包まれる。朝から晩まで忍たまが押し寄せて、伊作の不運がどこかにまき散らされているのではないかと思うほどだ。どうして伊作がいる時はあんなに暇なのに、いざ伊作が実習に出掛けると、こんなにも保健室に来る人数が増えるのだろう。
手が止まってしまった一年二人の頭に手をやり、数馬は微笑む。太陽はとっくに沈んで、夜の象徴がぽっかりと浮かんでいた。

「左近も、一年を長屋に送ったら休んでいいよ。もう一人でも大丈夫だから」
「いえ、僕も残ります」

目を擦る二人の後ろから、ずいぶんご立派な返事が返ってきて、数馬は一層微笑んだ。何ですか、と顔を赤らめる左近に、口の動きだけで、更に真っ赤にさせた。