「駄目じゃないですか」 食堂でうどんを啜っていたら、突然後ろから声を掛けられた。聞いたことのない声だったので、一応振り返る。忍術学園の生徒ならば背後を取られても、と安心しているものの、いきなり声を掛けてきた不届き者の顔を見ないわけにはいかない。 声の割には不安げな顔が、そこにあった。 「君は、三年か」 「三反田数馬と申します」 三年はあまり知らないので、名前もきっちり頭に入らない。一味唐辛子を入れすぎたか、辛い。おばちゃんが見たら怒るだろう。 「骨、折れているでしょう」 「誰が」 「あなたが」 「余計なお世話だよ」 「でも、その手」 「やかましいな、君は」 保健室に寄っていただけますか、を無視して、食べかけのうどんの前から消える。ふ、と目線で追われたけれど、何も知らない振りをした。 |