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火薬と残骸


「薬込役ではもったいない」
「そんなことありません」

頑なに隣から動こうとしない三年の俯いた頭に言葉を掛けても、何の意味もないことを三木ヱ門は知っている。自分を縁の下の力持ちと決めた、と言えば感じがいいが、表舞台に出るつもりがない、その気持ちは分からないでもない。
自分よりできる者がいれば、そちらに頼りたくなる。責任を擦り付けられるから、少しは安心していられる。その分他の面で重圧を感じることもあるだろうが。

「お前はできるんだから」

諦めた三木ヱ門は、発砲しながら呟いてみた。聞こえれば、きっと訝しむだろう。変わらず薬込役を続ける三年は、どうしてか少し逞しく見えた。