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雨乞い


綺麗な月が出てほしい、と願った。そうすれば忍者の時間はなくなって、危険な実習に行かなくてもよくて、忍術学園から人が減らなくて済む。一人分の隙間は 誰にも埋められない。分かっているのに、あたふたと動き回るのを止められない。水桶をひっくり返したり、食器を落としたり、怒鳴られても、仕方なそうに 笑ってくれるあの顔はない。

「僕だって山伏だから」

大洪水をひとつ、神様に。願っても届かない空に、災厄の光が降り注ぐ。