率直な一言ですべてを伝えられる人間になりたいのに、ひねくれた口は正直を紡いではくれない。無様だ。自分を罵る言葉ばかりが素直に飛び出してくる。 どうすれば、どうしても、何もできない自分は歯痒い。言い訳すらごまかしの利かない一言を探す旅に出てしまっている。 「好きなのよ」 知っている。言葉を、言葉の意味を、すべてを。壊れてしまう関係があるなら、いっそ、変化を望まない。そう決めたはずだったのに。 笑う不運は遠い。一言も届かないのだから、天の邪鬼だろうと素直だろうと、構わないはずだ。 かわいくなろうとしている自分の醜さを、叶わない片思いをしている人間は誰より知っている。 |