「庄ちゃんはすごいよ、よく分かった」 つまらなそうにぷらぷら足を動かし、兵太夫は口を尖らせる。擬音にしにくい刃と刃がかみ合う音に、もうすっかり飽きが来ていた。 見るのは縁側の天井であって、二人を見ようとはしない。 ばか、と鼻をつままれ、しょうがなく顔を隣に座る伊助に向けてやると、伊助の目も少々つまらなそうであり、何となく親近感が持てた。 「伊助さあ」 未だ引かず押されずの攻防の音が続いている。未来の剣豪と、炭屋を継ぐ、小さな忍たまたちの。 「庄ちゃんと手合わせしてやってんでしょ」 「兵太夫、語弊だよ。僕がしてもらってる」 「どうでもいいよ、そんなの」 言葉の差なんて関係ない。要はしてるかしていないかで、他はどうでもいい。 つままれた鼻に指のマメの跡が残ってむず痒い。 「実は伊助が一番強いんじゃないかって思うよ」 片方が剣を落とす音がした。庄ちゃん、と伊助が呟いた。 どちらが勝ったのか、天井には書いていない。 |