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小鳥の揺りかご


三郎次から見た海や川や池は、どう違って見えるのだろう。泳ぎが達者だからといって、特別と感じたりはしないものなのだろうか。
様々な事の序でに尋ねると、三郎次はきょとんとした顔で久々知を見返した。変なことを聞いた、忘れてくれ、と言うと、そんなこと聞いてきた人が今までにいなかったので、と悩み出す。

「揺りかごみたい、なんです」

出し抜けの回答は、すぐに三郎次の顔を赤くさせた。11歳にもなって、何が揺りかごだ、とでも言いたげで、忘れてください、ともたれた首まで薄紅色をしていた。

三郎次から見た水は、命そのもの。泳ぎで勝ち取った特待枠と火薬委員との間を揺らめき、原点に回帰する。