「確かに伊作先輩はご立派ですけど」 改まって向かい合われて、どうにも照れくさくて薬草畑に手を伸ばした。ぷち、といい音が後輩の言葉を遮ってしまえばよかったのに、そんなうまいことは行かない。 「でも僕は、数馬先輩も尊敬しているんです」 いいよ、と言った声は震えていただろうか。自信がなくて、無理しなくていいよ、とは言えなかった。 薬草は茎が固く、ぷちぷちといい音が鳴る。返答を諦めたのか、隣でも同じ音が聞こえだした。 耳を澄ませて、目を瞑って、出てきたのは、ありがとう、でも、ごめん、でもなく、来年も頑張るから、だった。 当たり前じゃないですか、い組の彼は顔を赤くして、慣れた手つきでぷちぷちと。 |