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50枚までの小話


「確かに伊作先輩はご立派ですけど」

改まって向かい合われて、どうにも照れくさくて薬草畑に手を伸ばした。ぷち、といい音が後輩の言葉を遮ってしまえばよかったのに、そんなうまいことは行かない。

「でも僕は、数馬先輩も尊敬しているんです」

いいよ、と言った声は震えていただろうか。自信がなくて、無理しなくていいよ、とは言えなかった。
薬草は茎が固く、ぷちぷちといい音が鳴る。返答を諦めたのか、隣でも同じ音が聞こえだした。

耳を澄ませて、目を瞑って、出てきたのは、ありがとう、でも、ごめん、でもなく、来年も頑張るから、だった。
当たり前じゃないですか、い組の彼は顔を赤くして、慣れた手つきでぷちぷちと。