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遠吠えの彼方


忘れるなよ、と竹谷先輩は僕を呼び出して言った。

「死んでからが本番だ」

俺たちろ組は、と抱きしめて、竹谷先輩の肩は震えていて、僕はどうしていいか分からなかった。
ふわふわと空気が薄くて、ゆっくりと頭を預けると、竹谷先輩は意外そうな顔で僕を見てきた。

「死ななければ本番は来ないんですか」
「俺たちは、な」

ぶわっと死臭がして、竹谷先輩は僕から離れていった。どこかで狼が吠えている、気がする。
さっさと戻りな、俺は掃除をちゃっちゃと終わらせるから。扉を開けると月が思いの外明るくて、竹谷先輩の顔はすっかり見えなくなってしまった。
俺たちは、と暗闇から声がする。狼は確かに吠えている。

「死んでからが本番だ」